オンライン決済代行のSBペイメントサービス(以下SBPS)はこのほど、アイルランドを拠点とする決済代行会社Nomupay(ノムペイ)と資本・業務提携を締結した。日本国内での決済サービスに強みを持つSBPSが、グローバルな決済・送金サービスを持つNomupayと連携することにより、日本の加盟店企業の海外進出を積極的に支援できる体制を構築する。日本の人口減少に伴い市場の縮小が懸念される中、海外市場への活路を見出す企業は増えている。こうした企業を、決済とインフラの両面から後押しする戦略だ。
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目次
多様化する加盟店のニーズに応える
今回の提携の背景には、加盟店のニーズの多様化と、グローバル競争の激化があるという。近年のEC市場の拡大に伴い、加盟店からは「日本で展開しているサービスを海外でも提供したい」「国内だけでなく、海外の消費者にも商品を販売したい」といった声が寄せられていたという。
特に、デジタルコンテンツやAI関連サービスを提供する企業にとっては、海外市場への進出は大きな成長機会となる。ただ、国ごとに異なる、決済手段や通貨、税務処理、法規制への対応は、企業にとって大きな障壁となっていたそうだ。
SBPS・グローバル事業推進部の伊東賢良部長は、「これまでは国内事業が中心だったが、加盟店のグローバル化が進むなか、海外にも目を向けていかなければならないという危機感があった」と語る。
海外の決済事業者が日本市場に参入し、大手顧客を獲得していることへの対抗策としても、海外展開は不可欠だった。
決済と送金を一元化、加盟店の負担を軽減
Nomupayとの提携により、SBPSは日本の加盟店に対し、これまでにない価値を提供することが可能となる。Nomupayは国際決済(Pay₋in)サービスだけでなく、国際送金(Pay-out)サービスに強みを持つ。これにより、加盟店は、海外での売り上げを多通貨で受け取れるようになる。それだけでなく、現地でのパートナー企業やクリエイター、ドライバーなどへの送金も一元管理できるようになるという。
決済と送金について、別々の事業者と契約する必要がなくなる。今後はSBPSを通じてワンストップで利用できるようになるという。
これにより、煩雑な業務負担が軽減され、企業は、より本業に集中できるようになるとしている。

同事業部の山田潤子氏は、「決済事業だけでは収益性が限られている。そのため、決済以外の付加価値サービスを提供できるNomupayとの提携は、我々にとって魅力的だった」と提携に至った決め手を明かした。
東南アジアを主要ターゲットに
提携によるサービス提供範囲は、欧州連合(EU)、東南アジア、中東(一部国)に及ぶ。特に東南アジアは、デジタル化の進展や人口増加を背景に、EC市場が急成長している。伊東部長によると、Nomupayも市場の伸びを考慮し、東南アジアにリソースを集中させているという。
銀行口座を持たない人々が多い地域ではEウォレットが普及しており、Nomupayがカバーする、多数の現地決済手段は、現地の消費者を獲得する上で重要な武器となるという。
SBPSとしては、日本国内の、デジタルコンテンツ関連やAI関連の企業を主要なターゲットとして、海外展開を後押ししていく方針だ。海外進出のノウハウが少ない企業に対しても、決済面のサポートにとどまらず、「現地法人の設立」などの、インフラ面のサポートも含め提供。成長を支援するとしている。
シンガポールに新拠点 グローバル展開を加速
SBPSは今後、Nomupayとの連携を強化し、アジアでのプレゼンスを高めていく。その一環として、シンガポールに営業拠点を開設する計画を持っていることも明らかにした。NomupayとSBPSが一緒に営業活動をしていくことにより、日本の加盟店を海外へと導ける体制の構築を、本格化するという。
「日系企業が海外でビジネスを展開する際に、決済やインフラの面で『頼れる存在』になりたい。海外の競合他社に、追いつき、追い越す意気込みで事業を進めていく」と伊東部長は語る。今回の提携は、日本の加盟店がグローバルな舞台で活躍するための強力な第一歩となりそうだ。
※2025年8月28日の日本ネット経済新聞に掲載された内容です。
記載されている情報は、掲載時点の内容のため、予告なしに変更される可能性があります。



