賃貸の家賃は、銀行振込や口座振替での支払いが一般的でしたが、近年はクレジットカード払いに対応しているケースも増えてきました。家賃をクレジットカード払いにするべきか、迷っている入居者や大家・不動産会社の方も多いのではないでしょうか。
今回は、家賃をクレジットカード払いにするメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。クレジットカード払いの導入方法や、おすすめのクレジットカードの選び方にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
賃貸の家賃は、クレジットカード払いが可能なケースが増えている
賃貸の家賃は、大家・不動産会社がクレジットカード払いを導入している場合、クレジットカード払いにすることができます。従来、家賃のクレジットカード払いは、あまり一般的な支払い方法ではありませんでした。
しかし、近年はキャッシュレス決済が急速に普及しつつあることを受け、クレジットカード払いが可能な賃貸物件が増えています。
こうした流れを受けて、クレジットカード払いが可能な物件に絞って検索できるWebサービスなども登場しているのが実情です。家賃をクレジットカード払いにしたいというニーズが増えているといえるでしょう。
大家・不動産会社がクレジットカード払いを導入するメリット・デメリット
家賃をクレジットカード払い対応にすることで、大家・不動産会社にとってどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。想定されるメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット:家賃の滞納が起こりにくい
家賃をクレジットカード払いにすることで、家賃の滞納が発生するリスクを抑えられます。入居者が家賃の決済用クレジットカードを一度登録すれば、以降は毎月クレジットカード会社を通じて家賃が自動的に請求されるからです。
入居者が所持しているクレジットカードが限度額に達したり、何らかの理由で利用停止となったりしない限り、家賃の未払いを防げる点が大きなメリットです。
メリット:入居者が決まりやすい
入居者が決まりやすくなり、空室リスクの抑制に役立つというメリットもあります。入居希望者によっては、クレジットカード払いが可能な物件に絞って入居先を探しているケースもあるからです。
家賃のクレジットカード払いに対応している物件が増えつつあるとはいえ、すべての賃貸物件でクレジット決済が可能とは限りません。クレジットカード払いができることは、入居希望者から選ばれる機会を増やすことにもつながります。
デメリット:決済手数料が必要
家賃のクレジットカード払いにおける代表的なデメリットは、決済手数料が発生することです。クレジットカード払いにおいては、決済金額のうち一定割合を手数料としてクレジットカード会社に支払わなくてはなりません。手数料の分だけ貸主の実収入が減ってしまう点はデメリットといえます。
デメリット:入金までにタイムラグがある
クレジットカード払いの場合、支払いから入金までにタイムラグが発生します。入金時期はクレジットカード会社ごとに異なりますが、「毎月15日締め・翌月10日払い」といったように、一定のスパンで入金されるのが一般的です。銀行振込や口座振替よりも貸主の口座に家賃が入金されるタイミングが遅くなるため、資金繰りに注意する必要があります。
入居者がクレジットカード払いを行うメリット・デメリット
大家・不動産会社としても、入居者のクレジットカード払いのメリット・デメリットを把握しておくことが大切です。具体的には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット:手元に現金がなくても支払いできる
クレジットカード払いは、決済と実際の支払いのタイミングが異なる後払い決済の一種です。たとえ家賃の支払い日には手元に現金がなかったとしても、支払いの時期をずらすことができます。入居者にとって家賃は、毎月の支出の中でも大きな割合を占めるケースが多いことから、資金繰りに余裕が生まれることは大きなメリットのひとつです。
賃貸物件の場合、定期的に契約更新の時期を迎えることになります。更新月には家賃に加えて更新料も支払う必要があることから、入居者の負担が大きくなりかねません。このような場合にも、クレジットカード払いであれば無理なく支払いやすくなる可能性があります。
ただし、決済日と引き落とし日にはタイムラグがあるため、引き落とし日に口座残高が不足することのないよう、注意が必要です。
メリット:支払いが簡単
入居者が毎月家賃の支払い手続きをする必要がなく、自動的に決済が完了することもクレジットカード払いの大きなメリットです。家賃の支払いを銀行振込や手渡しにした場合、毎月の期日までに定められた家賃を支払わなくてはなりません。忙しいときなどには、支払いを失念してしまう恐れがあります。
また、銀行振込であれば毎月振込作業を行う必要があるほか、家賃を手渡しで支払う場合は大家や不動産管理会社へ出向かなくてはなりません。こうした手間や時間を節減できることは、クレジットカード払いのメリットといえます。
メリット:ポイントが貯まる
家賃を支払うたびにポイントが貯まることも、クレジットカード払いのメリットといえます。支払いの便利さという点では、クレジットカード払いも口座振替もほぼ変わりはありません。
一方で、毎月一定額の支払いが必ず発生する家賃の決済によって、自然とポイントが貯まっていく点はクレジットカード特有のメリットです。
ただし、クレジットカード会社によっては、家賃の支払いをポイント付与の対象外としているケースもあるため注意が必要です。あらかじめクレジットカードの規約などに目を通し、家賃の支払いがポイント付与の対象になっているか確認しておくことをおすすめします。
デメリット:利用可能額(限度額)に注意が必要
家賃をクレジットカード払いにする場合、クレジットカードの利用可能額(限度額)に注意する必要があります。高額商品をクレジットカードで購入した場合など、限度額の上限に近づいている際には、家賃が決済できない恐れがあるからです。
利用可能額は、クレジットカードの利用状況に応じて変更される場合があります。現状の利用可能額を定期的に確認し、家賃の支払いに問題なく対応できる利用可能額となっているか気にかけておく必要があるでしょう。
デメリット:クレジットカードブランドを指定される場合がある
クレジットカード払いが可能な物件であっても、対応しているクレジットカードのブランドが限られているケースがあります。所有しているクレジットカードが指定されたブランドであるか、確認しておく必要があります。
対応ブランドについてはWebサイトなどに記載されていないこともあるため、事前に大家や不動産会社に問い合わせておくほうが無難です。
クレジットカード払い以外の家賃の支払い方法
ここまで家賃のクレジットカード払いについて解説してきましたが、それ以外にはどのような支払い方法があるのでしょうか。クレジットカード払い以外の家賃の支払い方法について、入居者と大家・不動産会社にとってのメリット・デメリットと併せて確認しておきましょう。
銀行振込
銀行振込は、銀行のATMや支店にて家賃を振り込む方法です。通帳や取引明細に振込の履歴が記録されるため、支払いの有無についてトラブルに発展する心配がありません。
一方で、入居者は毎月振込が発生するため、手間がかかる点がデメリットです。また、振込を忘れた場合には、遅延金が発生する恐れがあります。入金の確認や督促、遅延金の請求は、大家・不動産会社にとっても手間がかかる作業です。
口座振替
口座振替は、毎月指定された日に口座から家賃を振り替える方法です。口座残高が不足しない限り家賃が支払われるため、滞納が起こりにくい点がメリットです。
ただし、振替手数料が毎月かかることが難点といえます。また、入居者はポイントなどの特典が得られないこともデメリットのひとつです。
決済代行会社については、以下の記事で詳しく解説しております。
口座振替(自動引き落とし)とは?振込との違いや仕組み、手数料を解説
現金の手渡し
入居者が、大家や不動産管理会社に直接現金を持って行って支払う方法もあります。借主・貸主の双方が顔を合わせてコミュニケーションを図れる点はメリットですが、毎月時間や場所を決めて待ち合わせなくてはならないことが難点です。
また、現金を授受した証拠として領収書を発行・受領するための手間も発生します。入居者と大家・不動産会社のどちらにとっても、現金の持ち歩きや保管方法に留意しなければなりません。
家賃のクレジットカード払いの導入方法
ここまで解説してきたとおり、家賃のクレジットカード払いにはさまざまなメリットがあります。入居者の利便性や大家・不動産会社の負担を考慮した場合、クレジットカード払いを導入するのが得策です。家賃のクレジットカード払いを導入するには、以下のような方法があります。
クレジットカード会社に直接申し込む
クレジットカード会社へ直接申し込むことで、クレジットカード払いの導入が可能になります。契約に際してクレジットカード会社による審査が行われ、審査通過後に契約を締結することでクレジットカード払いが開始できます。
決済代行会社を通さず直接契約する場合、代行手数料が発生しないというメリットがある反面、手続きに手間がかかるのが難点です。審査に要する期間はクレジットカード会社によって異なりますが、目安として1ヵ月程度かかります。クレジットカード払いの導入時期が決まっている場合には、早めに手続きを進めることが大切です。
入居者管理アプリを利用する
入居者管理アプリを利用して、クレジットカード払いを導入するのもひとつの方法です。導入方法としては、既存のアプリを利用する方法と自社開発する方法が挙げられます。
既存の入居者管理アプリの場合、決済機能のほか、契約の締結支援や入居者へのお知らせ機能など、さまざまな機能をスピーディーに導入できる点が大きなメリットです。
ただし、家賃や更新料・退去時費用などの回収機能の有無など、利用可能な機能はアプリによって異なるため、求める機能が備わっているかどうか確認しておく必要があります。
入居者管理アプリを自社開発する場合、自社が求める機能を柔軟に搭載できる点が大きなメリットです。一方で、開発のための費用や期間を要することから、費用対効果を慎重に見極める必要があります。
決済代行会社に依頼する
決済代行会社に依頼して、クレジットカード払いを導入することもできます。代行手数料が発生するものの、申込み手続きが省力化される点は大きなメリットです。
また、複数のクレジットカードブランドを一度に導入できることや、入金のタイミングを統一できることも大家・不動産会社にとってのメリットといえます。ただし、依頼時の手数料に加え利用料などが発生するため、ランニングコストも考慮したうえで決済代行会社を利用すべきか判断することが大切です。
クレジットカード決済の導入方法については、以下の記事で詳しく解説しております。
クレジットカード決済の導入方法は?費用やメリットも解説
決済代行会社については、以下の記事で詳しく解説しております。
決済代行とは?決済代行サービスの仕組みとメリットを徹底解説
家賃のクレジットカード払いにおすすめのカードの選び方
家賃の支払いに利用するクレジットカードを選ぶ際には、「ポイント」「年会費」「そのほかの特典」を重視することをおすすめします。ポイントは還元率のほか、使用できる場所が多いポイントかどうかも確認しておくことが大切です。
また、優待店での割引や旅行傷害保険の付帯など、クレジットカードによって得られる特典は異なります。家賃の支払い以外の用途や、ライフスタイルに合ったクレジットカードを選ぶといいでしょう。
クレジットカード払いの導入は、SBペイメントサービスがおすすめ
これからクレジットカード払いを導入したいと考えている事業者さまには、SBペイメントサービスの利用をおすすめします。
SBペイメントサービスは、審査から決済サービスまでをワンストップで提供できる決済代行会社です。Visa、Mastercard、UnionPay(銀聯)といった国際ブランドライセンスを保有しているため、多くのクレジットカードに対応可能な決済の仕組みを手軽に導入できます。
年間8兆円(2023年度実績)に上る決済取扱高をトラブルなく処理する高度な決済システムであることに加え、堅牢なセキュリティを提供できる点が大きな特長です。クレジットカード払いの導入をご検討の際には、ぜひSBペイメントサービスにご相談ください。
よくあるご質問
- Q.
- 家賃のクレジットカード払いのメリットは?
- A.
- 家賃をクレジットカード払いにすることで、家賃の滞納が発生しにくくなる点が大きなメリットです。また、近年はクレジットカード払いが可能な物件を優先して探す入居希望も増えていることから、入居者が決まりやすくなるというメリットもあります。
入居者にとっては、手元に現金がなくても支払いが可能になることや、銀行振込・現金手渡しと比べて支払いが簡単であること、クレジットカードの利用に応じてポイントが貯まることなどが主なメリットです。
- Q.
- 家賃のクレジットカード払いのデメリットは?
- A.
- 家賃をクレジットカード払いにした場合、決済手数料が発生します。また、決済から入金までにタイムラグが発生する点もデメリットのひとつです。入居者にとっては、利用可能額(限度額)を気にかけておく必要があることや、対応しているクレジットカードブランドが限定される場合があることがデメリットといえます。
幅広いクレジットカードブランドに対応可能な決済の仕組みを導入したい場合には、複数のブランドを取り扱っている決済代行会社を利用するのが得策です。
その他のご不明点はFAQ よくあるご質問をご確認ください。