2025年のEC決済市場では、アプリ外課金の規制緩和(スマホソフトウェア競争促進法の成立、以下「スマホ新法」)によって、ゲームや電子書籍などのデジタルコンテンツの市場が活発になりそうだ。SBペイメントサービス・第一営業本部 兼 グローバル事業推進本部の林亮副本部長によると、2024年に成立したスマホ新法によって、アプリ内コンテンツの決済の課金を、アプリ外のウェブサイトでも行えるようになったことから、「決済手段の多様化と関連したキャンペーンが加速していくだろう」としている。
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PayPayなどのQRコード決済がキャッシュレス比率を押し上げる
2025年のEC市場規模は、引き続き拡大する。
日本のキャッシュレス比率はまだまだ伸びしろがある。政府は将来的に、キャッシュレス比率80%を達成することを目標に掲げているが、2024年時点で40%程度となっている。韓国や中国などと比べると、キャッシュレス比率はまだ低い。
今後は、PayPayをはじめとしたQRコード決済が、キャッシュレス比率を高めていくだろう。ユーザーの嗜好に合ったキャンペーンや利用促進施策を展開できることが加盟店に受け入れられてきていることも要因の一つだ。
PayPayはリアル店舗での少額決済で利用が多かったが、2024年11月にPayPay残高での1回あたりの決済上限額を50万円から100万円に引き上げ、今後は高額の決済にも利用されていくと見ている。ECでは、クレジットカードを持てない層や、使いたくない層にも、PayPayが利用されている。
デジタルコンテンツ領域で顧客ニーズに合った決済が多様化
2025年は、デジタルコンテンツ事業者にとって、決済手段が大きく変わっていく1年になるだろう。
2024年6月には、一定規模以上のIT企業を対象に、他社の決済システムを利用することを妨げることを禁止するスマホ新法が成立した。それによって、スマホゲームや電子書籍などのアプリ提供企業がユーザーに、アプリ外の自社ウェブサイトで決済をさせる「アプリ外課金」が進むと見られている。
アプリ外課金が柔軟に行えるようになると、ブラウザ上で決済サービスを提供するプラットフォーマーやベンダーのサービスを利用して、決済手段の多様化と関連したキャンペーンが加速するだろう。デジタルコンテンツ事業者は、戦略的に多様な決済が選択できるようになったと言って良いだろう。
例えば、スマホのゲームアプリを提供する事業者が、ゲーム内で利用できるアイテムを、ブラウザ上のウェブストアで販売できるようになる。ストア限定で従来よりも割安で販売するといったことも可能だ。
既に、国内大手ゲーム各社がSBペイメントサービスの決済サービスを利用し、アプリ外のウェブサイトでの課金を開始している。今後は、アプリ外のウェブページでもコンテンツが購入できるようになるだろう。アプリ外で販売するコンテンツの価格をアプリ内で表示したり、アプリ内からアプリ外課金へと誘導するリンクを表示したりすることもできるようになる。ますます、アプリ外課金の利用が促進されると見られる。
SBペイメントサービスは、デジタルコンテンツ事業者や知名度の高いアプリを提供する事業者へのサービス提供実績が数多くある。デジタルコンテンツ領域で決済手段を多数提供してきた実績があるため、顧客ニーズに合った決済手段を提案できる。
ゲームや電子書籍には、国内の決済代行事業者だけでなく、海外勢も大手が参入を検討している。市場は活発化していくだろう。
※2025年1月21日の日本ネット経済新聞に掲載された内容です。
記載されている情報は、掲載時点の内容のため、予告なしに変更される可能性があります。