企業間取引においては、一般的に掛け払いが採用されるケースが多く見られます。代金を後からまとめて支払う後払いとどう違うのか、疑問に感じていた方も多いのではないでしょうか。
今回は、掛け払いの定義や後払いとの違い、掛け払いを取り入れるメリット・デメリットについてわかりやすく解説いたします。掛け払い代行サービスを利用するメリット・デメリットや、代行サービスの選び方も紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
掛け払いとは?
掛け払いとは、一定期間に発生した取引の代金をまとめて請求し、指定日に入金する支払い方法のことです。取引代金は請求書にて請求されることから、請求書払いと呼ばれることもあります。
掛け払いの大きな特徴として、信用を担保に取引が行われている点が挙げられます。注文品が納められた時点や、請求書が発行された時点においては金銭のやりとりが発生しません。後日代金をまとめて支払うルールを適用できるのは、取引企業間の信頼関係にもとづいて取引が行われているからです。
掛け払いと後払いの違いとは?
掛け払いと同様に、取引と支払いにタイムラグが生じる決済方法として、後払いが挙げられます。掛け払いと後払いには、大きく3点の違いがあります。
掛け払い | 後払い | |
---|---|---|
取引相手 | BtoB(企業間取引) | BtoC(個人間取引) |
支払いのサイクル | 月末締め・翌月末払いといったように、月内に複数回の取引があっても支払いは1回の場合が一般的 | 取引ごとに支払い期日を設定 |
利用上限額 | 相手先企業の与信に応じて数百万~数千万円 | 後払い事業者が設定しており、累計55,000円(税込)の会社が多い |
取引相手
どちらも取引と支払いにタイムラグがありますが、一般的に企業間取引であるBtoBでは掛け払い、個人間取引であるBtoCでは後払いという言葉が使われています。
支払いのサイクル
掛け払いにおいては、月末締め・翌月末払いといったように、支払いのサイクルが事前に決められています。したがって、月内に複数回の取引が行われた場合も、支払いは1回にまとめるのが一般的です。
一方、後払いの場合は取引ごとに支払い期日を設定します。例えば、商品の到着日から2週間以内といったように、支払い期日が個別に設定されるため、入金のタイミングは取引ごとにまちまちです。
利用上限額
利用上限額の設定も、掛け払いと後払いの大きな違いのひとつです。前述のとおり、信用にもとづく取引においては、請求書発行から実際の支払い日までタイムラグが生じるため、未回収リスクが伴います。よって、1回あたりの取引上限額を設けるのが一般的です。
掛け払いは企業間取引を想定していることから、利用上限額は相手先企業の与信に応じて数百万~数千万円に設定されるケースが少なくありません。
これに対して、一般消費者との取引を想定している後払いでは、後払い事業者が事前に上限額を決めており、累計55,000円(税込)と定めている会社が多く見受けられます。
掛け払いのメリット
掛け払いを採用することによって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとして挙げられるのは、以下の2点です。
請求と回収をまとめられるので、業務負担を軽減できる
掛け払いを採用することで、請求と回収を毎月決まった時期にまとめられます。売り手と買い手の双方にとって、業務負担を軽減できる点が大きなメリットです。
都度払いを採用している場合、取引が発生するたびに売り手は請求書を発行し、買い手は支払いの処理をしなくてはなりません。高頻度で取引が発生する状況では、こうした業務に要する手間や時間が営業・経理担当者にとって多大な負担となりがちです。請求・回収を一度にまとめることにより、業務の効率化につながります。
取引先に選ばれやすくなる
掛け払いを採用することにより、取引先に選ばれやすくなるというメリットもあります。取引のタイミングと支払いのタイミングがずれることにより、買い手側企業にとって資金繰りに余裕が生まれるからです。
例えば、数千万円といった高額の代金が発生する取引の場合、都度払いであれば買い手側企業は近日中に代金を支払わなくてはなりません。資金に余裕のない時期であれば、取引を控える可能性は十分にあります。
一方、掛け払いであれば、資金に余裕ができるタイミングに合わせて支払えるため、現状の資金状況を問わず取引に応じられるケースが少なくありません。
掛け払いのデメリット
掛け払いには、買い手・売り手の双方にとってメリットがあるものの、デメリットとなりかねない面もあります。主なデメリットとして挙げられるのは以下の2点です。
与信審査が必要
掛け払いを適用するには、売り手側は買い手側の与信審査を行う必要があります。買い手側の経営状況や財務状況によっては、請求した代金の支払い能力が十分にない可能性もあるからです。
万が一、請求金額が回収できない事態に陥れば、商品を提供するために要したコストは損失となってしまいます。よって、取引開始前に与信審査を実施し、買い手側の支払い能力を見極めたうえで、与信枠の範囲内で取引を行うことが大切です。
代金が未回収になるリスクがある
掛け払いは、取引と入金のタイミングが異なる以上、代金が未回収になるリスクが伴うことは売り手側にとって大きなデメリットといえます。取引開始時には与信審査を実施するとはいえ、買い手企業の経営状況が短期間のうちに急変する可能性もゼロではありません。そのため、取引開始後も与信審査を定期的に行い、買い手企業の支払い能力を慎重に見極める必要があります。
また、最終的に代金を回収できたとしても、未入金が判明した段階で催促や督促を行うことになるため、そのための業務負担が発生する点もデメリットのひとつです。
掛け払い代行サービスを利用するメリット
掛け払いにおいて発生する売り手側の事務負担を解消するためのサービスとして、掛け払い代行サービスが挙げられます。掛け払い代行サービスとは、BtoB取引で発生する請求業務を委託できるサービスのことです。掛け払い代行サービスを利用するメリットには、以下のようなものが挙げられます。
掛け払いに関する負担が減り、生産性が向上する
掛け払い代行サービスを利用するメリットのひとつは、請求業務の負担が軽減され、生産性が向上することです。請求書の発行はもちろんのこと、与信審査や代金回収に至るまで、請求業務に必要な一連のプロセスを委託できます。営業担当者や経理担当者はこうした業務から解放され、より重要度の高いコア業務に専念しやすくなるでしょう。
代行サービスの与信審査システムを利用できる
代行サービス側の与信審査システムを利用できることも、掛け払い代行サービスを利用するメリットのひとつです。掛け払い代行サービスのなかには、与信審査も込みで対応しているものが多く見られます。このシステムを利用することにより、売り手企業は自社で与信審査のノウハウを構築することなく、掛け払いの仕組みを導入可能です。与信審査は掛け払いの仕組みを整備するうえでハードルとなりやすい点のため、これから掛け払いを導入したい企業にとって大きなメリットといえます。
迅速な対応で、取引先に喜ばれる
請求業務が迅速化することにより取引先に喜んでいただけることも、掛け払い代行サービスのメリットです。請求書の発行や送付は同時期に集中しやすいため、取引先に請求書が届くタイミングが遅くなるケースは少なくありません。
取引の頻度が高い場合や、多くの取引先を抱えている企業の場合は、こうした傾向が顕著に表れがちです。掛け払い代行サービスの活用により、請求業務を迅速かつ正確に実施できるようになることは、取引先にとってもメリットとなりえます。
未回収保証や立て替えを利用できる場合もある
掛け払い代行サービスによっては、未回収保証や立て替え払いに対応している場合があります。代金の未回収は掛け払いを導入する際に懸念されるリスクのひとつです。損失が生じる恐れがあるだけでなく、未入金となっている理由の問い合わせや督促といった業務にリソースを割かれてしまいかねません。
こうした業務負担や未入金リスクを回避できることは、掛け払い代行サービスを利用する大きなメリットといえます。
掛け払い代行サービスを利用するデメリット
掛け払い代行サービスを利用するにあたって、導入費用や手数料が発生する点がデメリットといえます。利用するサービスによって費用が異なることから、費用対効果を考慮してサービスを選ぶことが大切です。
ただし、掛け払いの仕組みを構築・運用するために自社でリソースを確保するには、相応のコストが生じます。掛け払い代行サービスを導入することによって結果的に出費を抑えられるようなら、請求業務を一括して外注するほうが得策です。
掛け払い代行サービスの選び方
掛け払い代行サービスを選ぶ際には、どのような点を重視するべきでしょうか。主な比較ポイントについて解説いたします。
利用上限額
掛け払いの利用上限額は、代行サービスごとに異なります。自社の取引実績と照らし合わせた際に、現実的な利用上限額となっているか確認しておくことが大切です。
導入・利用に必要な費用
サービス導入に伴う初期費用や月額費用、決済時の手数料なども、必ずチェックしておきたいポイントです。掛け払い代行サービスによって、発生する費用は異なります。
例えば、初期費用と月額費用が生じるサービスもあれば、取引額に応じた手数料のみ生じるサービスもある点に注意が必要です。取引の頻度や取引金額によって、どちらの費用体系が合理的といえるかが異なるため、年間の費用を試算しておくことをおすすめします。
与信審査のスピードや通過率
与信審査のスピードや通過率についても、必ず確認しておくことが大切です。与信審査には、大きく分けて企業単位で行われるもの(企業与信)と取引ごとに行われるものがあります。企業与信の場合、初回取引時に与信審査が実施され、以降の取引では審査なしで取引を継続可能です。
一方、取引ごとに審査を実施する場合には、審査のための時間を要する傾向があります。場合によっては、これまで問題なく取引してきた企業の審査が通らず、取引を見合わせざるをえなくなる可能性も否定できません。迅速な審査が可能で、かつ通過率の高いサービスを選ぶことをおすすめします。
必要なサービスに対応しているかどうか
提供されているサービスの範囲についても確認しておく必要があります。以下のうち、自社にとって必要なサービスをあらかじめ検討しておき、条件に合った掛け払い代行サービスを選ぶことが重要です。
<掛け払い代行サービスのサービスメニュー例>
• 与信審査
• データ連携
• 請求書発行
• 入金管理
• 督促
• 未回収保証
特に未回収保証については、100%保証されるかどうかを必ずチェックしておきましょう。掛け払いに特有のリスクを回避するためにも、重視しておくべき点といえます。
掛け払いの代替サービス
掛け払いの仕組みを取り入れる方法として、メールリンク型サービスが挙げられます。メールリンク型サービスとは、商品購入手続きの際にメールやSMS、QRコードを通じてお客さまに決済URLを案内し、遷移先の決済画面にて支払い処理を行っていただく仕組みのことです。
決済画面は決済代行会社が提供するため、売り手側は自社で決済システムを構築する必要がありません。請求書の発行が取引上必須ではないようなら、掛け払いの代替サービスとしてメールリンク型サービスを導入するのもひとつの方法といえるでしょう。
メールリンク型サービスの仕組みをまとめると、以下のようになります。
メールリンク型サービスの仕組み
メールリンク型サービスについては、以下のページで詳しく説明しております。
メールリンク型サービス | SBペイメントサービス
掛け払い導入をご検討の方は、SBペイメントサービスへ
掛け払いの導入を検討している事業者さまには、SBペイメントサービスへのご相談をおすすめします。SBペイメントサービスでは、NP掛け払いや請求書クラウドをご紹介できるだけでなく、自社サービスとしてメールリンク型サービスを提供しています。掛け払いはもちろんのこと、そのほかの決済方法についてもまとめて依頼できるため、多彩な決済方法を手間なく導入できることが大きなメリットです。
また、SBペイメントサービスでは、事業者さまの決済に関する課題の解決に向けて幅広くご相談に応じています。
決済を効率化したい事業者さまや、掛け払いの仕組みをスムーズに導入したい事業者さまは、ぜひSBペイメントサービスにご相談ください。
よくあるご質問
- Q.
- 掛け払いを導入するメリットは?
- A.
- 掛け払いを導入することで請求と回収をまとめられるため、請求業務の負担を軽減できます。取引ごとに請求書を発行したり、入金を確認したりする必要がなくなるからです。
また、取引と実際の支払いにタイムラグがあり、取引先にとって資金繰りに余裕が生まれるため、取引先に選ばれやすくなるというメリットもあります。企業によっては請求書払いへの対応が取引の条件となっているケースもあることから、取引先の幅を広げるには掛け払いを導入するのが得策といえます。
- Q.
- 掛け払いを導入するデメリットは?
- A.
- 掛け払いによる取引は、買い手企業との信頼にもとづいて行われます。買い手企業側の経営状況や財務状況によっては、代金が回収できない事態にも陥りかねません。よって、与信審査が必須となる点はデメリットのひとつです。
また、代金が回収できなかった場合、商品を提供するために要したコストは損失となってしまいます。最終的に代金を回収できたとしても、未入金が判明した時点で問い合わせや督促といった業務が発生することになるため、業務負担が生じるのは避けられません。こうした事態を避けるには、請求業務を一括で委託でき、未回収が保証される仕組みの掛け払い代行サービスを利用することをおすすめします。
- Q.
- 掛け払いと後払いの違いは?
- A.
- 一般的に企業間取引であるBtoBでは掛け払い、個人間取引であるBtoCでは後払いという言葉が使われています。また掛け払いと後払いでは支払いサイクルや上限額が異なります。
その他のご不明点はFAQ よくあるご質問をご確認ください。
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