近年、生活に欠かせない決済手段となっているクレジットカードですが、どのような仕組みで決済処理が行われているのかとなると、使う側のお客さまも導入されるEC事業者さまも詳しくご存じの方は多くはありません。当コラムでは、EC事業者さまにおいて、クレジットカード決済を導入される上で是非ご理解を深めておいていただきたい「オーソリ(オーソリゼーション)」について詳しく解説いたします。
目次
オーソリとは?
クレジットカード決済は、一般的に「オーソリ」と「売上処理」を行うことによって決済手続きが完了します。
オーソリとは「オーソリゼーション」の略で、端的にいうと「お客さまのクレジットカードで決済できるかを確認する作業」です。日本語では、「信用承認」「販売承認」などと訳され、お客さまのクレジットカードが有効かどうかや、利用限度額に達していないかなどをカード会社が確認し、その上でクレジットカードのご利用枠を確保する処理のことです。
お客さまがクレジットカードを利用する際には、オーソリの承認後に売上処理を経て決済が完了となります。一定金額以上のお買い物をされる場合は、カード会社との規約により、加盟店さま側にオーソリ処理を義務づけている場合もあります。
オーソリが必要な理由
クレジットカード決済を行う度に、利用可能であるかをオーソリで事前承認する理由は、おもに下記の2つがあります。
1.不正使用の防止
オーソリは、偽造カードや盗難カードなどによる不正使用の防止のひとつです。国内外問わず、クレジットカードの不正使用のトラブルは多発しています。
そのため、お客さまやEC事業者さま、カード会社の被害や損失を事前に防ぐために、毎回正常に正しく利用できるクレジットカードであるかをチェックしています。
2.利用限度額の確認
クレジットカードは、設定されている利用限度額の範囲内でしか使用できません。しかし、お客さまがお支払いの際に使用されるクレジットカードが、利用限度額に達していないかどうかを、EC事業者さまはその場で把握することはできません。
そのため、オーソリを通すことで、都度カード会社に限度額の確認をとっているのです。併せて、お客さま自身のお支払い遅延等のトラブルの有無もカード会社で確認をし、健全な取引ができるかどうかもチェックしています。
オーソリだけではすべての不正に対応できない
オーソリで利用ができるカードと判断された場合でも、すべての不正使用を防ぐことはできません。オーソリは、クレジットカード番号や有効期限、利用金額などから、使用できるカードかどうかを確認しています。
クレジットカードの使用者が名義人本人かを保証するものではないため、不正使用を防ぐためにはセキュリティ対策をしっかり行う必要があります。
EC事業者さまがご導入可能な不正使用対策には、本人認証(3Dセキュア)、セキュリティコード、不正検知があります。
クレジットカードの不正使用被害とその対策
クレジットカード情報漏えい被害と今後の不正使用対策について解説いたします。
本人認証(3Dセキュア)
本人認証(3Dセキュア)は、クレジットカード会員自身が事前に設定したパスワードの入力によって、本人認証をする方法です。クレジットカード決済時に、クレジットカード番号と有効期限の入力に加え、パスワードを入力することで、より確実な本人認証になります。
セキュリティコード
セキュリティコードは、不正使用を防止するためにクレジットカードに記載されている3桁あるいは4桁の番号です。American
Express以外のクレジットカードでは裏面に記載されており、決済画面でセキュリティコードを入力することで、本人認証ができます。
セキュリティコードは、クレジットカードを実際に所有しているお客さまだけが知りうる情報であるため、なりすましによる不正使用のリスクを抑制できます。
不正検知
不正検知は、注文情報を基に不正審査をリアルタイムに行い、OK・REVIEW(保留)・NGのいずれかの審査結果を表示します。そのため、事業者さまは出荷の可否をスムーズにご判断いただけます。
当社決済サービスを導入された事業者さまは、決済情報と機械学習で不正利用を検知する「AI不正検知」をご利用いただけます。フリープランを含む3つのプランをご用意しており、事業者さまのニーズに合わせてお選びいただけます。
オーソリゼーションコードとオーソリエラー
オーソリを行った後、カード会社が決済を承認すると、カード会社より「オーソリゼーションコード」が発行されます。 オーソリゼーションコードは予約番号のようなもので、この時点では売上は確定していません。ただ、その際に発行されたオーソリゼーションを元に、カード会社からEC事業者さまに対して商品代金のお支払いが行われることになりますので、オーソリゼーションコードの取得と保管は必須となります。
また、もしオーソリが承認されない場合は、エラーが発生し、クレジットカードでのお支払いはできません。承認されない場合の原因として多いのは、カード番号や暗証番号の誤入力、有効期限切れ、利用限度額の超過などとなります。不承認となった際には、それぞれのエラーに応じてカード会社からエラーコードが付与されます。EC事業者さまは、万が一お客さまのクレジットカードが利用できない場合、エラーコードを参照し、必要に応じカード会社にお問い合わせをし適切に対処ください。
オーソリの種類とタイミング
オーソリには大きく2種類あり、ビジネスに合せたご選択が必要です。
自動オーソリ
EC事業者さまの手間を抑えて即時にオーソリを行う方式です。例えば、下記のような場合にご利用いただきます。
- ・お客さまがECサイトの支払方法としてクレジットカード情報を登録した際に、利用できるクレジットカードかを確認する
- ・商品在庫があらかじめ確保されているので、すぐにお客さまのクレジットカードのご利用枠を確保する
手動オーソリ
EC事業者さまご自身で都度オーソリを行う方式です。例えば、下記のような場合にご利用いただきます。
- ・ECサイトと実店舗で在庫を共有している。そのため、在庫数が流動的なため在庫確保後にお客さまのクレジットカードのご利用枠を確保する
オーソリ後のクレジットカード決済の売上処理
ここからは、オーソリの後に行うクレジットカード決済の売上処理について解説いたします。 売上処理を行うことで、実際にお客さまへご利用代金をご請求することになります。 この種類と流れは、カード決済を運用するための重要なポイントです。(売上処理の呼び方は決済会社によって異なりますのでご了承下さい)
1.自動売上方式
オーソリの承認後に、自動で売上処理を行う方式です。EC事業者さまは売上処理に時間を掛けずに済みます。例えば、下記のような場合にご利用いただきます。
- ・ゲームなどの、お客さまの購入手続き直後にポイントをチャージしたい場合
- ・商品在庫が常に確保できているので、お客さまの購入手続き後すぐに商品発送をしたい場合
2.指定売上方式
オーソリでクレジットカードの利用枠を確保し、EC事業者さまの任意のタイミングで売上処理を行います。売上処理を行うまではお客さまに対してご請求は行われませんがクレジットカードの利用枠は確保されたままになります。利用枠を確保できる期間はクレジットカード会社によって異なりますが、30~90日程度が一般的です。
上述の手動オーソリと同じような下記のような場合にご利用いただきます。
- ・ECサイトと実店舗で在庫を共有している。そのため、在庫数が流動的なため在庫確保後に売上処理を行いたい
どの売上処理を選択するべきか
前述のとおり、売上処理にも2種類がありましたが、自社のECサイトはどちらの処理を行うべきなのか悩まれると思います。そこで大きく業種を物販とデジタルコンテンツに分けてご説明いたしますので、ご参考ください。
物販ECサイト
配送を伴う物販のEC事業者さまの場合、お客さまの商品購入手続き時に、いずれかのオーソリを行いクレジットカードの利用枠をまずは確保し、商品出荷時に指定売上処理を行うことが一般的です。この手法を使えば、商品の在庫切れや入荷待ちが発生している際に、カード会社からお客さまへ自動で請求されてトラブルになることを防ぐことができます。
デジタルコンテンツ
動画配信サービスやアプリゲームなど、支払い手続きが完了した段階でサービスを受けられるデジタルコンテンツ事業の場合、自動オーソリと自動売上処理を行うことが一般的です。
ただし、無料キャンペーンなどを行う場合には、無料期間内に解約するお客さまもいるので注意が必要です。まずは自動オーソリでクレジットカードの利用枠を確保し、後日課金ができるようになった際に指定売上処理を行うことで、解約したお客さまには課金せずに済みます。
SBペイメントサービスが選ばれる理由
当社のクレジットカード決済代行サービスは、リアルタイムに決済データを確認いただける決済管理ツールのご提供を行っております。決済管理ツールでは、決済データの検索や、売上処理、取消返金処理などを行っていただくことができます。またクレジットカードブランドを複数導入される場合や、他の決済手段も入れる場合などでも、当社の決済管理ツール一つで、全決済手段の売上確認や売上処理ができるため工数削減にも繋がります。
クレジットカード決済をご導入検討されているEC事業者さまは、是非当社に一度お問い合わせください。