更新日:2021/02/19
インターネットを活用して製品やサービスを販売する「EC」の市場は、毎年大きく成長を続けています。自社のビジネスを伸ばすために、これからECサイト(ネットショップ)を開設したいと考えている企業も少なくないでしょう。
ECサイトの運用を成功させるためには、ECサイトに必要な機能や構築方法、運用業務などについて知る必要があります。
目次
ECサイトとは自社の製品やサービスをインターネット上で販売するためのウェブサイトのことです。ECとは「Electronic Commerce」の略で、「電子商取引」という意味になります。「ネットショップ」や「オンラインショップ」「Eコマース」とも呼ばれます。
一口にECサイトといっても、その形態はさまざまです。自社のウェブサイト内にオンラインショップを開設するケースもあれば、多数のオンラインショップが集まるモールサイトに出店するケースもあります。
インターネットの普及に伴って、日本国内のEC市場規模は右肩上がりで拡大しています。経済産業省が発表した「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2019年におけるBtoCのEC市場規模は約19.4兆円となっており、前年から比べて7.65%拡大しました。また、BtoBのEC市場規模は約353.0兆円で、前年比2.5%増となっています。
BtoCにおいてもBtoBにおいてもEC市場規模は年々拡大しており、今後も同様の傾向が続くことが予想されます。
ECサイトには多くのメリットがあります。一方でデメリットもないわけではありません。ECサイトを始めるなら、これらのメリットとデメリットをしっかり把握しておくことが大切です。
まずはECサイトのメリットについて見ていきましょう。
ECサイトの最大のメリットは、「ビジネスが地域に縛られない」という点です。実店舗はどうしても場所の制約を受けます。東京で実店舗を構えた場合、大阪の顧客を獲得するのは容易ではありません。
しかし、ECサイトにはインターネット環境さえあればどこからでもアクセスできますから、地域に縛られず顧客を獲得できます。日本全国どころか、世界中の顧客を相手にビジネスができるのです。
ビジネスの規模にもよりますが、実店舗よりも必要な人員が少なくて済むのもECサイトのメリットです。実店舗ではいつ顧客が訪れるかわかりませんから、常にスタッフを店舗に置く必要がありますが、ECサイトでは注文が入ったら対応すればいいので、接客のためのスタッフを常駐させる必要がありません。
スタッフを常駐させる必要がないので、24時間365日いつでも顧客対応が可能です。実店舗はコンビニエンスストアなどを除いて、どうしても夜中は店舗を閉めることになりますが、ECサイトはそもそも人が常駐していないので、昼夜も休日も問わず注文を受けることができます。
データを活用しやすいこともECサイトのメリットです。実店舗では、ふらっと訪れた顧客が現金で決済したような場合、「何がいつ売れたか」というデータは記録できても、「どんな人が何の目的で買ったのか」といった顧客データを残すのは難しいでしょう。
一方、ECサイトでは、どんな属性の顧客がどんなページを経由して購入したのかといったデータが、すべて記録されます。このデータを商品企画やPR施策などに活用して、ビジネスを伸ばしていけるのです。
次に、ECサイトのデメリットも確認しておきましょう。また、デメリットの対策についても解説いたします。
売上を伸ばすためには集客が必要です。ECサイトを開設したからといって、何もしなくてもどんどん顧客が増えて注文が入るわけではありません。集客のためのさまざまな施策を行う必要があります。
ECサイトの集客には、「集客をサポートしてくれるショッピングモールに出店する」「メルマガやSNSなどで集客を図る」といった方法が有効です。
顧客と会えないという点も、ビジネスによってはデメリットになるでしょう。ECサイトではインターネットを介して取り引きが行われるので、直接顧客と顔を合わせて言葉を交わせるわけではありません。そのため、実店舗と違って、「言葉を交わして仲良くなって常連になってもらう」といった取り組みはできません。
チャットやメールでのサポートなど、丁寧にコミュニケーションをとることで、顧客と会えないデメリットを補うようにしましょう。
続いては、代表的なECサイトの種類を4つ解説いたします。ECサイトにはさまざまな種類がありますので、ビジネスに応じて最適なスタイルを選びましょう。
単店舗型とは、他社が運営するショッピングモール内に店舗を設けるのではなく、商品を販売するためのウェブサイトを自社で独自に構築したタイプのECサイトです。
自社で管理、運営をすべて行うため、デザインや機能を作り込むことができ、キャンペーンなどの施策も自由に打てます。ショッピングモールの都合に左右されないことが最大のメリットといえるでしょう。また、出店手数料なども発生しないので、利益率も最大化できます。
一方で、ショッピングモールの集客力を頼れないため、どのようにサイトを宣伝して顧客を集めるのかはしっかり考えなければいけません。
BtoB(Business to Business)とは、企業と企業の取り引きを指す言葉です。一般の消費者に販売するわけではないので、サイトの構築や運営方法も企業間取引に特化したものになります。
例えば、すでに契約済みの顧客と取り引きを行うためのECサイトであれば、IDとパスワードでログインしないと購入できないクローズ型のECサイトが一般的です。この場合、ECサイトの役割は、受注の効率化による業務負荷の軽減となります。
一方で、新規の顧客を獲得するためのBtoBのECサイトもあります。新規顧客の開拓が目的なので、IDやパスワードでログインを制限することはしません。BtoCのECサイトと同様に商品の魅力を伝え、将来の顧客にアピールすることが狙いです。
ショッピングモール型とは、他社が運営するインターネット上のショッピングモールに出店するタイプのECサイトです。メリットは、なんといってもショッピングモールが持つ顧客と集客力です。巨大ショッピングモールはすでに多くの顧客を抱えており、集客に関するノウハウも蓄積されています。また、出店に関しては費用がかかりますが、自社でECサイトを一から構築するよりは安く済むことが多いでしょう。
デメリットは、ショッピングモールを運営する企業に対して、出店料を支払わなければならないことです。また、顧客データを自社で保有できない場合も多く、顧客データを活用した取り組みは難しいといえます。
越境型とは、商品を海外の顧客に向けて販売するECサイトのことを指します。国境を簡単に超えられる、インターネットならではのビジネスといえます。特に、新型コロナウイルスの影響でインバウンドによるビジネスが低調な場合は、その分を補うためにも、越境ECにかかる期待は大きいといえます。
一方で、越境ECは、各国の法律や商慣習を理解する必要があったり、輸送費が国内よりもかかってしまったりと、国内のビジネスと比べて難しい面もあります。
ECサイトには、取り引きするためのさまざまな機能が必要です。ここでは、一般的なECサイトに求められる機能を解説いたします。
商品、在庫管理機能とは、ECサイトに商品情報を登録したり、編集したりする機能です。顧客が商品を購入したら在庫数を減らすなど、在庫数量の管理機能も必要です。
顧客管理機能とは、ECサイトで商品を購入した顧客の情報を管理するための機能です。個人情報が含まれるため、情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。
問い合わせフォームとは、顧客からの問い合わせを受けつける専用のフォームのことです。問い合わせ内容を書く欄に加えて、必要であれば氏名などの情報を入力する欄も設けます。
メール配信機能とは、メールマガジン、いわゆる「メルマガ」を配信する機能です。ECサイトの売上を伸ばすためには、顧客と継続的に接点を持つことが重要で、メールマガジンはそのための大事なツールとなります。
カート、決済機能とは、ECサイトでの購入や支払いを行う機能です。ECサイトで商品を購入する場合は、カートに商品を追加して、まとめて決済を行うやり方が主流となっています。
決済は、クレジットカードやコンビニ払い、キャリア払いなど、たくさんの方法があります。希望する方法で決済できないと、顧客はサイトを去ってしまう可能性もあるでしょう。ユーザー層に合わせて、複数の決済方法を導入しておくことをおすすめします。
クーポン、キャンペーン機能とは、割引や送料無料などのクーポンを発行したり、キャンペーンを展開したりすることで販売を促進する機能です。
クーポンの適用などがスムーズに行えるように、あらかじめECサイトにクーポンやキャンペーンの機能を持たせておきましょう。
分析機能とは、顧客がECサイト内でとった行動を収集し、分析する機能です。どのページがどれくらい見られたのか、商品を買った顧客が別に興味を示したページは何だったのかなど、顧客の動きを分析することでECサイトの改善や商品企画につなげられます。
自社でECサイトを構築する場合、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、ビジネス規模に応じたECサイトの構築方法を解説いたします。
■ECサイトの構築方法と、各方法に適したビジネス規模
なお、ビジネス規模はあくまで目安としてお考えください。当社が調査を行い記載をしておりますがECサイト構築で重要なことは、予算、必要な機能、運用体制などに応じて自社に合うECサイトを構築することです。
フルスクラッチは、プログラムを組んでゼロからECサイトを構築する方法です。デザインや機能などをすべて自社の都合で作り込めるメリットがありますが、非常に大規模な開発になるため、長い期間と多くの予算を必要とします。年商が50億円を超えるような巨大な規模のECサイトに向いています。
パッケージは、中規模から大規模ECのサイトに適した方法です。ECサイトに必要な機能がそろったパッケージソフトを導入して構築していきます。フルスクラッチほどの自由度はありませんが、ある程度の拡張性はあり、なおかつ費用や開発期間を抑えられるバランスの良い構築方法です。
オープンソースは、無料で利用できるオープンソースのプログラムを活用してECサイトを構築する方法です。自由度が高くコストも抑えられる構築方法ですが、開発するためには高い技術力を要します。
ASPは、個人が運営するECサイトや小規模なECサイトに適した構築方法です。無料、または有料のサービスを使ってECサイトを開設します。ECサイトに必要な機能は最初から用意されているので、インターネットさえあれば簡単にECサイトを作れます。ただし、デザインや機能の自由度は高くありません。
ECサイトの運用業務には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、「フロント業務」と「バックエンド業務」に分類して解説いたします。
ECサイトのフロント業務とは、主に商品の販売に関わる業務のことです。例えば、商品企画、サイト制作、マーケティング(SNS活用、SEO、キャンペーン企画など)といった業務がフロント業務になります。
ECサイトのバックエンド業務とは、表からは見えない裏方作業のことです。例えば、商品をサイトに登録する作業や在庫管理のほか、注文を受けた後の梱包や出荷作業、顧客からの問い合わせ対応などがバックエンド業務になります。
今回は、ECサイトの種類やメリット、デメリットのほか、必要な機能や運用業務について解説しました。SBペイメントサービスでは、特にECサイトで絶対に欠かせない「決済」をサポートしております。
クレジットカードやコンビニ決済、キャリア決済、QRコード決済など、さまざまな決済手段に対応しており、一括で導入が可能です。
ECサイトの開設をご検討の際には、多くの実績と高いセキュリティを備えたSBペイメントサービスにご相談ください。
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
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