ECサイト・ビジネスモデル

ECサイトをフルスクラッチで構築するメリットとデメリットとは?

ECサイトを運営する場合、まずはECサイトの構築方法を選ぶ必要があります。なかでもフルスクラッチは、大手企業が運営するECサイトに多く選ばれている構築方法です。
ここでは、ECサイトをフルスクラッチで構築するメリットやデメリットのほか、ほかの構築方法との違いについて解説します。

目次

フルスクラッチとは、ゼロからオリジナルで作成すること

フルスクラッチは、既存のものを流用するのではなく、新規にゼロから作成することを意味する言葉です。元々は模型の製作において、既製品を組み立てるのではなく、オリジナル作品を作り出すことを表す和製英語から来ており、現在ではシステムやアプリケーション開発の分野で使われる用語としても定着しています。

スクラッチ開発とは、システム開発の雛形となるパッケージなどを使わず、オリジナルのシステムを開発することです。フルスクラッチは、スクラッチ開発の意味を強調し、既存のフレームワーク、テンプレート、ソースコードなどを(ほとんど)流用せずに、システムを作ることを表します。

フルスクラッチはECサイトの構築方法のひとつ

フルスクラッチはECサイトの構築方法のひとつで、要件定義から設計、それらにもとづくプログラミングなどを、ゼロベースで構築していく方法のことです。

フルスクラッチは、ECサイトを構築する方法としては最も大規模で、多くの費用と開発期間を要します。サーバーなどのインフラも自社で用意し、運用もインハウスで行うのが一般的です。そのため、フルスクラッチは主に、年商50億円を超えるような大規模なECサイトを作る際に用いられます。開発は自社の開発部門か、外部のITベンダーが行います。

フルスクラッチでECサイトを構築するメリット

フルスクラッチでECサイトを構築する場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、代表的な4つのメリットを解説します。

ECサイトを自由に設計できる

最も大きなメリットは、フルスクラッチであれば自由にオリジナリティのあるECサイトを設計できることです。具体的には、トップページのデザインや商品画像の表示方法、ユーザーレビューの仕様など、細部に至るまですべてを思いどおりに設計して作ることができます。ブランドイメージや商品特性、ユーザー層などに合わせて、デザインや機能を自由にコントロールすることが可能です。

ただし、ECサイトをフルスクラッチで構築する場合でも、決済システムは既存の決済代行サービスを利用することは珍しくありません。決済代行サービスを利用すれば、クレジットカード払いや電子マネー払いなどのさまざまな決済手段を一括で管理することができるため、ECサイト運営の負担を減らすことができます。

ECサイトの機能追加や保守運用に柔軟に対応できる

フルスクラッチでECサイトを構築した場合、機能追加や保守運用に柔軟に対応できるというメリットがあります。ECサイトの使い勝手やキャンペーンに合わせて新機能を追加したい場合、機能の仕様やスケジュールを自社の都合で決めることができます。また、障害などのトラブル対応やシステムのアップデートなども、社内や開発したITベンダーで迅速に対応することが可能です。

ECサイトの拡張性が高い

既存のECサイト構築システムは、多くの場合、連携できるツールがあらかじめ決まっています。フルスクラッチでECサイトを構築した場合は、利用したいツールと自由に連携できるため、ECサイトの拡張性が高いというメリットもあります。

ECサイトのデータを社内の基幹システムや販売管理システム、CRM(顧客関係管理)、MA(マーケティングオートメーション)ツールなどと連携したい場合も、フルスクラッチなら柔軟に対応が可能です。ECサイトと実店舗の販売を連動させてデータを一元管理するオムニチャネルなど、独自のシステム連携を行いたいときほどフルスクラッチの拡張性の高さが有用性を増します。

ECサイトの最適化や改善がしやすい

フルスクラッチは、お客さまの反応やトレンドに合わせて、ECサイトを改善しやすいのもメリットのひとつです。管理画面を使いやすくする、商品情報の登録や管理、受注処理などの仕組みを変更するといったバックエンド業務に関わる改善も、フルスクラッチなら柔軟に対応できます。

そのため、PDCAを迅速に回せることもフルスクラッチのメリットです。お客さまにとっても運営側にとっても、より使いやすいECサイトへと最適化していくことができるでしょう。

フルスクラッチでECサイトを構築するデメリット

フルスクラッチには多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。代表的なデメリットについて解説します。

ECサイトの構築や運用にかかる費用が高い

フルスクラッチでECサイトを構築した場合、構築や運用にかかる費用が高いというデメリットがあります。フルスクラッチによるECサイトの構築費用は数千万円以上が一般的で、数億円規模になることも考えられます。運用費用も月額数十万円程度と高額です。機能の追加や改善をする場合も、その都度費用が発生します。

年商50億円を超えるECサイト向けといわれるのは、フルスクラッチでは構築にも運用にも多大なコストがかかるためです。

ECサイトの開発期間が長い

フルスクラッチでECサイトを構築した場合、開発期間が長くなるというデメリットがあります。
フルスクラッチの開発期間が半年から数年程度であるのに対し、既存のパッケージを使用した場合は3ヵ月から半年程度で完成するのが一般的です。少しでも早くサービスを開始したいという場合には、フルスクラッチは向かないでしょう。

ECサイトの保守運用が難しい

ASPカートやクラウドECなどの簡易化されたECプラットフォームは、テンプレートが用意されているため、保守運用が容易に行えます。一方で、フルスクラッチで構築されたECサイトは、保守運用が煩雑になるというデメリットがあります。日常的に細かい更新作業が必要な場合は、外部の運用代行会社を利用することも可能です。ただし、外部の運用代行会社を利用する場合は、運用費用が必要になります。

ECサイトの頻繁な改善が必要

フルスクラッチでECサイトを構築した場合、自社で頻繁に改善しなければいけないこともデメリットのひとつです。ASPカートやクラウドECの場合、OSバージョンアップなどには運営会社が対応してくれますが、フルスクラッチの場合は自社で対応しなければなりません。セキュリティに関しても、脆弱性が見つかれば早急に自社で対応する必要があります。

また、ECサイトのデザインや機能は、トレンドの変化やテクノロジーの進化により、いつかは陳腐化してしまいます。フルスクラッチで構築したECサイトの場合は、リニューアル作業も開発と同様、大掛かりなものとなってしまうでしょう。

ITベンダーを変えづらい

自社開発せず外部のITベンダーに開発を依頼した場合は、その後も機能追加などの度に継続して発注することになります。ECサイトの開発経緯や仕様をベンダーがすべて知っているため、ほかの会社では対処がしづらくなるからです。そのため、一度依頼したベンダーを変えづらいというデメリットがあります。

パッケージ開発の場合は、別のパッケージにデータを移行してECサイトを構築することも可能です。フルスクラッチでは、そうした乗り換えは難しくなります。

フルスクラッチ以外のECサイト構築方法

ECサイトの構築方法は、ECサイトの規模や予算、ECサイトに求める要件などに応じて決定します。フルスクラッチ以外の主なECサイトの構築方法についても確認しておきましょう。

パッケージ

パッケージとは、ECサイトに必要な機能が備わったパッケージソフトを導入してサイトを構築する方法です。小~中規模向け、大規模向け、BtoB向けなど、さまざまな種類のパッケージがあり、コストもかなりの幅があります。フルスクラッチのように完全に自由な設計ができるわけではありませんが、ある程度のカスタマイズや機能拡張が可能です。

オープンソース

公開されているソフトウェアのソースコードを無償で利用して、ECサイトを構築することもできます。オープンソースは自由にカスタマイズすることが可能で、自社もしくは外部のベンダーに依頼してインストールや設定を行います。オープンソース自体は無償であるためコストを抑えられますが、さまざまな機能を追加しようとすると結局コストがかさむケースも少なくありません。また、障害発生時の対応やセキュリティ対策なども自社で行う必要があります。

ASP

ASPは、ECサイトに必要なクラウド上のソフトウェアを利用することでサイトを構築する方式です。ASPには有料のものと無料のものがあり、ショッピングカート機能を中心に、決済機能や商品管理機能を持つクラウド上のソフトウェアをレンタルして使用する形になります。ASPは扱いやすく安価な一方で、機能はある程度限られていることが多いため、小中規模なECサイト向きだといえるでしょう。

ECサイトの代表的な構築方法をまとめると、以下のようになります。

■ECサイトの構築方法

構築方法 ビジネス規模
(年商)
初期費用 月額費用 自由度
フルスクラッチ 50億円~ 数千万円~ 数十万円~ 高い
パッケージ 1億~50億円 500万円~ 10万円~ 制限はあるが高い
オープンソース 1億円程度 0円 ~10万円 制限はあるが高い
有料ASP ~1億円 0円 10万円~ 低い
無料ASP ~1億円 0円 0円 低い

フルスクラッチを含むECサイトの各種構築方法についてや、構築方法を選択する際のポイントなどは、以下の記事で詳しく説明しております。
ECサイトの作り方とは?規模や費用に合ったおすすめの構築方法を解説 | SBペイメントサービス
ECサイト構築に必須!ECカートシステムの種類と選び方 | SBペイメントサービス

SBペイメントサービスが選ばれる理由

フルスクラッチによるECサイト構築であっても、各種決済手段を利用できるようにするなら、一つひとつの契約を自社で行うのは現実的ではありません。そのため、決済システムは決済代行会社と契約して、複数の決済手段を導入するのが一般的です。

その際、SBペイメントサービスを利用すれば、クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニ決済、PayPay(オンライン決済)、LINE Payなど、豊富な決済手段を一元管理することができます。
多くの有名ECサイトに、多様なニーズに対応するSBペイメントサービスが選ばれています。ECサイトを立ち上げる際には、ぜひSBペイメントサービスにご相談ください。

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