インターネットで物販を始める場合、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなどのプラットフォームに出店するか、自社でECサイトを構築することになります。もし、自社で独自にECサイトを構築する場合、どのような方法があるのでしょうか。
当コラムでは、ビジネスの規模や開発予算ごとにおすすめのECサイトの作り方を紹介し、それぞれの詳しい構築手順についても解説します。
目次
ECサイトの構築方法を、ビジネスの規模や予算別に紹介
ECサイトの構築方法は、大きく5つに分けられます。
ECサイトの構築方法
構築方法 | ビジネス規模(年商) | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 構築期間 | 拡張性(カスタマイズ性) | EC製品例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
フルスクラッチ | 50億円~ | 数千万円~ | 数十万円~ | なし | 非常に長い | 高い | |
パッケージ | 1億~50億円 | 500万円~ | 10万円~ | なし | 短い~長い | 制限はあるが高い | ・D-Sales ・W2 Unified |
クラウドEC | 1億円~ | 500万円~ | 数十万円~ | あり (サービスによる) |
短い | 制限はあるが高い | ・ebisumart |
オープンソース | 1億円程度 | 0円 | ~10万円 | なし | 長い | 制限はあるが高い | ・EC-CUBE ・Welcart |
ASP | ~1億円 | 0円 | 無料ASP 0円 有料ASP 10万円~ |
あり (サービスによる) |
短い | 低い | ・Shopify ・futureshop |
まずは、それぞれの構築方法の特徴と、ECサイトの作り方の流れを紹介します。ビジネスの規模や開発予算に応じて、適切な作り方を選択するようにしましょう。
なお、ビジネス規模はあくまで目安としてお考えください。当社が調査を行い記載しておりますが、ECサイト構築で重要なことは、予算、必要な機能、運用体制などに応じて自社に合うECサイトを構築することです。
▼ECサイトについては、以下のページで詳しく説明しております。
ECサイトとは?種類や必要な機能、構築・運営方法を解説
▼ECサイトの開業については、以下のページで詳しく説明しております。
ネットショップの開業方法とは?運営開始までの流れを解説
フルスクラッチ
フルスクラッチには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
<メリット>
・機能やデザインに制約がない
<デメリット>
・構築や運用にかかる費用が高い
・開発期間が非常に長い
・セキュリティ対策が必須
・技術的な知見が求められる
フルスクラッチとは、完全に一からプログラミングを行ってECサイトを構築する方法です。パッケージなど既存のサービスを利用しないため、制約がありません。サイトデザインや決済システム、ほかのシステムとの連携など、すべてにおいてやりたいことを実現しやすい点がフルスクラッチのメリットです。
一方で、大規模なサイトを一から構築するため、開発期間は非常に長く、構築プロジェクト開始からリリースまで、年単位で時間を要することもあります。セキュリティ面についても懸念されるため、十分なセキュリティ対策を講じておく必要があります。また、ECサイトの構築・運用には技術的な知見が不可欠となる点がデメリットです。
初期費用としては数千万円レベルの予算が必要になることが多く、その後も保守運用などの予算が月額数十万円程度はかかるでしょう。拡張性が高い反面、最も予算のかかる構築方法なので、年商50億円を超えるような大規模ECサイトの構築に適しています。
また、ほかのシステムとの連携や他部署からの要望などを仕様に盛り込むなど、細かい部分まで作り込む必要がある大規模ECサイトにおいても、フルスクラッチがおすすめです。
フルスクラッチ:年商50億円以上のECサイトに適した方法
構築方法 | ビジネス規模(年商) | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 構築期間 | 拡張性(カスタマイズ性) |
---|---|---|---|---|---|---|
一からプログラミングを行う | 50億円~ | 数千万円~ | 数十万円~ | なし | 非常に長い | 高い |
▼フルスクラッチについては、以下のページで詳しく説明しております。
ECサイトをフルスクラッチで構築するメリットとデメリットとは?
パッケージ
パッケージには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
<メリット>
・フルスクラッチよりも開発に必要な予算や期間を抑えられる
・拡張性も決して低くはない
<デメリット>
・ソフトが古くなっていく可能性がある
パッケージとは、企業が提供するECサイト構築用のパッケージソフトを使う方法です。拡張性の面ではフルスクラッチに及びませんが、ECサイト向けのさまざまな機能が最初から備わっているため、一から開発する必要がなく、予算や期間がフルスクラッチほどかからない点がメリットです。また、ある程度はカスタマイズすることもできますし、機能を追加することもできますので、拡張性も決して低いわけではありません。
一方で、長い目で見るとパッケージソフト自体が次第に古くなっていくため、バージョンアップに対応しているか確認しておく必要があります。将来的にバージョンアップが停止したり、サポートが切れたりする可能性もあることから、システム自体が古くなってしまうおそれがある点がデメリットです。
パッケージソフトを導入するための初期費用としては、500万円程度が目安です。また、運用のための費用として月額10万円ほどかかる場合が多いですが、管理やメンテナンスなどは提供企業に任せられるメリットがあります。フルスクラッチほどではないにしろ、それなりの予算を必要とする構築方法なので、年商1億~50億円程度の中規模~大規模ECサイトに向いています。
また、複数のシステムを連携させたり機能を追加したりして、細かい部分も作り込みたい場合は、拡張性の高いパッケージソフトを選ぶといいでしょう。
パッケージソフトの例として「D-Sales」や「W2 Unified」などが挙げられます。
パッケージ:年商1億~50億円のECサイトに適した方法
構築方法 | ビジネス規模(年商) | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 構築期間 | 拡張性(カスタマイズ性) | EC製品例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
パッケージソフトを使用する | 1億~50億円 | 500万円~ | 10万円~ | なし | 短い~長い | 制限はあるが高い | ・D-Sales ・W2 Unified |
クラウドEC
クラウドECには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
<メリット>
・必要なサービスを選んで利用できる
・拡張性も決して低くはない
<デメリット>
・一定の初期費用がかかる
・社内で保守管理ができない
クラウドECとは、クラウド上にあるプラットフォームを使ってECサイトを構築できるサービスです。通常、ECサイトを構築するためには各種システムを運用するためのプラットフォームのインストールが必要ですが、クラウドECならクラウド上でECサイトを運営できます。
メリットとしては、ユーザーが必要なサービスだけを利用できる点が挙げられます。インフラやソフトウェアを持つ必要がないうえ、機能性にも優れているため、長期的に見ると良いコストパフォーマンスで利用できるでしょう。また、クラウドECは拡張性が高いモデルもあるため、幅広い規模のECサイトに対応できる点も魅力です。
一方、クラウドECは機能性が充実したサービスである分、導入するには初期費用がある程度かかることや、ソースコードが開示されていない点がデメリットといえます。運営するECサイトのソースコードが開示されないため、社内での保守管理はできない点にも注意してください。
クラウドECは、初期費用と月額費用のどちらもそれなりの予算が必要なため、年商1億円以上の中規模~大規模ECサイトに向いています。
拡張性の高さを活かしたい場合や、ASPを使ったサイト構築に限界を感じた際に、さらなる売上向上を狙ってクラウドECを利用するのもひとつの方法です。
クラウドECの例として「ebisumart」などが挙げられます。
クラウドEC:年商1億円以上のECサイトに適した方法
構築方法 | ビジネス規模(年商) | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 構築期間 | 拡張性(カスタマイズ性) | EC製品例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クラウド上にあるプラットフォームを使用する | 1億円~ | 500万円~ | 数十万円~ | あり (サービスによる) |
短い | 制限はあるが高い | ・ebisumart |
オープンソース
オープンソースには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
<メリット>
・拡張性が高い
・コストを抑えて構築・運用できる
<デメリット>
・構築には技術力が求められる
・セキュリティ対策やバグ修正を自社で行う必要がある
オープンソースとは、無償で公開されたソフトウェアのソースコードのことです。誰もが利用することができ、ソースコードをさらにカスタマイズして使用することもできます。このオープンソースを利用してECサイトを構築することが可能です。
メリットは、カスタマイズできる拡張性の高さと、それでいて初期費用が人件費を除き、ほぼかからないことです。サーバーは自社で準備する必要があるため、月額の運用費用は目安として10万円ほどかかりますが、拡張性が高いわりに予算を抑えることができます。
一方で、オープンソースでECサイトを構築するためには、技術力が求められる点がデメリットです。サイト構築後のメンテナンスやセキュリティ対策、バグ修正なども自社で行う必要があるため、高い技術力を持つエンジニアがいない場合は対応が難しくなるでしょう。
予算をかけずに拡張性の高いサイトを構築できるオープンソースは、年商1億円程度の中小企業の予算規模に適しています。拡張性にも優れるため、ASPを使ったサイト構築に限界を感じた場合にもおすすめです。
ECサイト構築が可能なオープンソースの例として「EC-CUBE」や「Welcart」が挙げられます。
オープンソース:年商1億円程度のECサイトに適した方法
構築方法 | ビジネス規模(年商) | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 構築期間 | 拡張性(カスタマイズ性) | EC製品例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
無償で公開されたソフトウェアを使用する | 1億円程度 | 0円 | ~10万円 | なし | 長い | 制限はあるが高い | ・EC-CUBE ・Welcart |
無料ASP・有料ASP
無料ASPや有料ASPには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
<メリット>
・基本的な機能が最初からそろっている
・知識や技術がなくてもECサイト構築が可能
<デメリット>
・拡張性が低い
ASPとは「アプリケーションサービスプロバイダ」のことです。事業者が提供するウェブアプリケーションを活用して、ECサイトを構築することができます。ECサイトに必要な機能が最初からそろっており、サポート体制も充実しているので、知識や技術がなくても気軽にECサイトを構築できるというメリットがあります。
一方で、カスタマイズの拡張性は低く、他社のECサイトと似通ったデザイン・機能になりがちです。独自性が高いECサイトを構築したい場合には、この点がデメリットとなるでしょう。
なお、ASPには無料のサービスと有料のサービスがあります。無料ASPは初期費用も月額費用もかかりません。有料ASPは月額費用こそかかりますが、初期費用はかからないサービスが多いです。
ASPは無料・有料いずれもコストを抑えて気軽に始められるため、個人で開設するオンラインショップや、年商1億円未満程度の小規模なECサイトの構築に向いています。
個人の小規模なECサイトであれば、機能は制限されますが、無料ASPからスタートする方法もおすすめです。まずは基本的な機能を使ってECサイトを運用し、ビジネスが軌道に乗ってきたら、有料ASPなど多機能な方法も検討するといいでしょう。
また、ASPは拡張性こそ低いですが、有料ASPは基本的な機能だけを必要とし、短期間でECサイトを構築したい場合に向いています。
無料ASP・有料ASPのサービス例として「Shopify」や「futureshop」などが挙げられます。
無料ASP・有料ASP:年商1億円以下のECサイトに適した方法
構築方法 | ビジネス規模(年商) | 初期費用 | 月額費用 | 販売手数料 | 構築期間 | 拡張性(カスタマイズ性) | EC製品例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ウェブアプリケーションを使用する | ~1億円 | 0円 | 無料ASP 0円 有料ASP 10万円~ |
あり (サービスによる) |
短い | 低い | ・Shopify ・futureshop |
▼ASPについては、以下のページで詳しく説明しております。
ASPカートとは?利用するメリットと選び方のポイントを解説
構築方法のメリット・デメリットまとめ
構築方法 | ビジネス規模(年商) | 初期費用 | 月額費用 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|---|
フルスクラッチ | 50億円~ | 数千万円~ | 数十万円~ | ・機能やデザインに制約がない | ・構築や運用にかかる費用が高い ・開発期間が非常に長い ・セキュリティ対策が必須 ・技術的な知見が求められる |
パッケージ | 1億~50億円 | 500万円~ | 10万円~ | ・フルスクラッチよりも開発に必要な予算や期間を抑えられる ・拡張性も決して低くはない |
・ソフトが古くなっていく可能性がある |
クラウドEC | 1億円~ | 500万円~ | 数十万円~ | ・必要なサービスを選んで利用できる ・拡張性も決して低くはない |
・一定の初期費用がかかる ・社内で保守管理ができない |
オープンソース | 1億円程度 | 0円 | ~10万円 | ・拡張性が高い ・コストを抑えて構築・運用できる |
・構築には技術力が求められる ・セキュリティ対策やバグ修正を自社で行う必要がある |
無料ASP・有料ASP | ~1億円 | 0円 | 無料ASP 0円 有料ASP 10万円~ |
・基本的な機能が最初からそろっている ・知識や技術がなくてもECサイト構築が可能 |
・拡張性が低い |
ECサイト構築の手順を、構築方法ごとに解説
ECサイトを構築するには、どのような手順で進めればよいのでしょうか。構築方法ごとに具体的な手順を解説します。ECサイトを公開するまでの基本的な流れをつかんでください。
フルスクラッチでのECサイトの作り方の手順
- 開発会社の選定、コンペ、契約
自社で開発しない場合は、まずECサイトを構築できる開発会社を選定するところから始めます。大規模なECサイトを一から構築するためには高い技術力が必要で、開発会社選定がプロジェクト成功のカギを握っているといっても過言ではありません。候補となる開発会社をピックアップ後、コンペを行い、契約を結んで開発をスタートします。
- ヒアリング、ECサイト構築、デザイン制作
制作するECサイトの要件について開発会社と打ち合わせを行い、どのようなECサイトを作るのかについて認識を共有します。その後、開発会社と協力しながら、実際のサイト構築やデザイン制作を進めていきます。
- 決済システム導入
ECサイトに欠かせないのが決済システムです。フルスクラッチで構築するような大規模サイトであれば、できるだけ多くの決済手段を導入したいもの。一つひとつの契約を自社で行うのは非常に手間がかかり、現実的ではありません。決済代行会社と契約し、複数の決済手段を導入するのが一般的です。
- 公開
ECサイトが完成し、決済システムも稼働できる状態になれば完成です。ECサイト公開後は、保守運用が必要となります。
パッケージでのECサイトの作り方の手順
-
パッケージソフトの選定
ECサイトを構築するためのパッケージソフトには、さまざまなものがあります。パッケージソフトによって機能や拡張性、価格などが異なるため、自社で制作したいECサイトのイメージと照らし合わせながら選定する必要があります。
-
パッケージ提供企業と契約
パッケージソフトを選定したら、提供企業と契約を結びます。
-
ヒアリング、ECサイト構築、カスタマイズ、デザインの制作
パッケージ提供企業の担当者と打ち合わせを行い、どのようなECサイトを作るのかについて認識をすり合わせます。その後、パッケージソフトの導入を進めます。多くのパッケージソフトでは、機能やデザインはカスタマイズできますので、提供企業と連携しながらECサイトを構築していきます。
-
決済システム導入
ECサイトに欠かせないのが決済システムです。パッケージをカスタマイズして制作するECサイトは中規模~大規模であることが多く、たくさんのお客さまを抱えているはずです。幅広い層に使っていただけるよう、決済システムはできるだけ多くの手段を用意する必要があります。しかし、決済手段一つひとつの契約を自社で行うのは非常に手間がかかり現実的ではありません。決済代行会社と契約し、複数の決済手段を一括で導入するのが一般的です。
-
公開
ECサイトが完成し、決済システムも稼働できる状態になれば完成です。ECサイト公開後のメンテナンスや管理などは、基本的に提供企業が行ってくれます。
クラウドECでのECサイトの作り方の手順
-
クラウドECを選ぶ
どのクラウドECを導入するのか、候補となる会社をリサーチしたり、実際に問い合わせたりして選定します。費用はもちろん、必要な機能があるか、操作しやすいか、サポートが充実しているかなども確認しましょう。
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クラウドEC提供企業と契約
クラウドECを選定したら、提供企業と契約を結びます。クラウドECでは、サーバーなどの自社インフラは不要です。
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ヒアリング、ECサイト構築、カスタマイズ
クラウドEC提供企業の担当者と打ち合わせを行い、どのようなECサイトを作るのかについて認識をすり合わせます。SEOや広告運用などもまとめて依頼できる企業もあるため、ECサイトの運用について不安な部分があれば相談してみましょう。
メールフォーマットの設定やデータ移行、運用ルールの取り決めなど、ECサイトの運用に必要な準備も進めておきます。 -
決済システム導入
決済システムの導入は、ECサイトのスムーズな運用に欠かせません。クラウドECで制作するECサイトは中規模~大規模であることが多く、たくさんのお客さまを抱えているはずです。幅広い層に使っていただけるよう、決済システムはできるだけ多くの手段を用意する必要があります。しかし、決済手段一つひとつの契約を自社で行うのは、非常に手間がかかり現実的ではありません。決済代行会社と契約し、複数の決済手段を一括で導入するのが一般的です。
-
公開
ECサイトが完成し、決済システムも稼働できる状態になれば完成です。クラウドECなら、ECサイト公開後も自動でシステムのアップデートが行われるので、常に最新の状態で運用できます。
オープンソースでのECサイトの作り方の手順
- サーバーを契約
オープンソースでECサイトを構築する場合は、サーバーを自社で準備する必要があります。
- ソフトをダウンロードして、サーバーにインストール
オープンソースのECサイト構築ソフトをダウンロードし、サーバーにインストールします。
- 基本設定、デザインの制作
サーバーにECサイト構築ソフトをインストール後、基本設定やデザインの制作などを行います。ECサイト構築ソフトにはテンプレートも用意されているので、最初はテンプレートを活用するのもいいでしょう。オープンソースのECサイト構築ソフトは改変が許されているため、自由にカスタマイズすることもできます。知識と技術さえあれば、それほど予算をかけずに思いどおりのサイト構築が可能です。
- 決済システム導入
ECサイトに欠かせないのが決済システムです。金融機関との契約を一つひとつ自社で行うのは非常に手間がかかり、現実的ではありません。決済代行会社と契約し、複数の決済手段を導入するのが一般的です。
- 公開
ECサイトが完成し、決済システムも稼働できる状態になれば完成です。ECサイト公開後は、自社での保守運用が必要となります。
ASPでのECサイトの作り方の手順
- ASPの選定
まず、ECサイト構築に使用するASPを選定します。無料ASPは初期費用も月額費用も無料ですが、機能や登録できる商品点数などが制限されるケースが多いです。有料ASPではさまざまな機能が使えるようになり、サポートも充実しています。
- ASPに登録
使用するASPを選択したら登録を行います。ASPでのサイト構築に、専門的な知識や技術は必要ありません。
- テンプレートなどを選んでデザインを決定
登録後、用意されているテンプレートからデザインを選びます。あくまでもテンプレートなので、デザインの拡張性は低めです。その後、ASP側で用意している各種機能の追加を検討し、可能な範囲でカスタマイズしていきます。
- 決済システム導入
決済システムは、ASP側で用意されています。できるだけ多くの決済方法が使えるのが理想です。どのような決済システムが使えるのか、ASPを選ぶ際に確認しておきましょう。
- 公開
商品を登録したら公開です。サイトのメンテナンスなどはASP側が行うため、販売に注力することができます。
ECサイトの構築方法の選び方
ECサイトの構築方法を選ぶ際には、ビジネスの規模や費用以外にも注意すべき点があります。特に押さえておきたい6つの注意点について見ていきましょう。
機能の充実度・拡張性は十分か
ECサイトとして備えておくべき機能がそろっているか、十分に確認しておく必要があります。ECサイトを構築してから必要な機能が利用できないことが発覚することのないよう、機能の充実度をチェックしておきましょう。
また、将来的に機能を追加する必要に迫られた際、対応できる拡張性を備えているかどうかも重要なポイントです。連携可能なソフトウェアやアプリについても調べておくことをおすすめします。
セキュリティ対策が講じられているか
セキュリティ対策が十分に講じられているかどうかも、必ず確認しておきたいポイントといえます。ECサイトでは顧客情報を扱うことになるため、外部に情報が漏えいするような事態が生じればお客さまの信頼を大きく損なうことにもなりかねません。データの暗号化や二要素認証、不正ログインを検出した際のアラートなど、お客さまにECサイトを安全にご利用いただくために必要な対策が講じられるかどうかを確認しましょう。
サポート内容は自社に合っているか
ECサイトを構築する際には、サポートの有無と内容の確認が必要です。
フルスクラッチやパッケージ、ASPは、サポートを含むことが多いため、契約前に内容を確認しておきましょう。
オープンソースの場合は、ソフトウェア提供会社によるサポートはほとんどありません。そのため、不明点やトラブルなどがある場合は、情報を検索したりユーザーコミュニティで質問をしたりして、自社で解決しなくてはなりません。オープンソースでECサイトを構築する場合は、自社で不明点やトラブルを解決できるか検討が必要です。
ECサイトのアップデート方法は負担にならないか
ECサイトの運営を続けていると、機能の向上やセキュリティ強化のために、アップデートが欠かせません。そのため、アップデートの方法が負担にならないかも、ECサイトの構築方法を決める前に確認が必要です。
フルスクラッチやパッケージの場合は、アップデートにかかる費用を確認しておきましょう。オープンソースの場合は、自社でアップデートを行う必要があります。また、カスタマイズの内容によってはアップデートができなくなることが多いので注意してください。ASPは自動的にアップデートされるものを選べば負担が少なくて済みます。
ECサイトに不具合が生じた際の責任の所在はどちらにあるのか
ECサイトに不具合が発生した際の責任の所在についても確認が必要です。
フルスクラッチやパッケージ、ASPを使用している場合は、システムを提供する会社に責任があります。ただし、オープンソースを使用している場合は、自社の責任となってしまいます。
オープンソースをベースにシステムを開発し、販売している企業の場合は、特に注意して契約書や規約を確認してください。このような企業の中には、「オープンソースに起因するバグには責任を負わない」としている企業もあるからです。
運営目標に対応できるか
将来的に売上規模や取扱商品点数などが増えた場合のことも見据えて、ECサイトの構築方法を選ぶことが大切です。
ひとつの目安として、3年後にどの程度の規模のECサイトに発展しているかといった運営目標も踏まえて、長期的な視点で検討しておく必要があります。
拡張性の高い構築方法を選ぶことによって、ECサイト全体をリニューアルすることなく対応できる場合もあるでしょう。現状だけでなく、長期的な視点でECサイトの構築方法を選択することをおすすめします。
▼プラットフォームについては、以下のページで詳しく説明しております。
ECプラットフォームとは?ECサイトを構築する方法を徹底比較
ECサイトのシステムを乗り換える際の注意点
ECサイトのシステムを乗り換える場合、新規でECサイトを立ち上げる場合とは別の問題が起こることがあります。ECサイトのシステムを乗り換える際に押さえておきたい注意点を4つ解説します。
お客さまのログインを促す施策を実施する
ECサイトのシステムを乗り換えると、Cookieによる自動ログインが無効になります。そのため、お客さまはIDとパスワードの入力が必要です。その際、IDやパスワードを忘れていたり、入力を面倒に感じたりした場合は、お客さまが離脱してしまうかもしれません。
ECサイトのシステムをリニューアルする際には、ログインをするとポイントやクーポンがもらえるような施策を実施し、お客さまのログインを促すようにしましょう。
流入を減らさないようにする
ECサイトのシステムの乗り換えによって各ページのURLが変わってしまうと、検索エンジンからの流入が減少する可能性があります。可能なら、乗り換え後も同じURLとなるようにするのがベストです。各ページのURLが変わってしまう場合は、乗り換え後のURLに自動的に転送されるよう、設定をしましょう。
なお、ECサイトのリニューアルに伴い情報量が減少するとSEOにも悪影響を及ぼすため、情報量はなるべく減らさないようにしてください。
レスポンシブ対応時の注意点
レスポンシブ対応では、PCとスマートフォンの両方で100%見やすいデザインにすることは難しい点にも注意しましょう。レスポンシブによって、どちらかのデバイスではサイトの使いにくさや見にくさが発生し、CVRが下がる可能性もあります。
例えば、新しいECサイトのシステムへ乗り換える際にスマートフォン向けのデザインにレスポンシブ化した結果、スマートフォンサイトではCVRが向上した一方で、PCサイトではCVRが下がってしまったというケースもあります。スマートフォンサイトとPCサイトそれぞれに最適化したECシステムを用意し、売上アップにつなげましょう。
▼ECサイトのデザインについては、以下のページで詳しく説明しております。
ECサイトはどうデザインする?売れるECサイトのデザインを解説
旧システムに戻せる体制を作る
ECサイトをリニューアルするときは、障害の発生に備えて、旧システムに戻せる体制を用意しておきます。大規模なECシステムの乗り換えや複雑なシステム連携を行うと、リニューアル後に思わぬ障害が発生し、ECサイトの運用を停止せざるをえない事態になる可能性もあるためです。
もし、旧システムに戻す体制を完全に用意することが難しい場合でも、障害発生時の被害を最小限にできるよう対策を講じておきましょう。
ECサイトの構築に活用できる補助金
ECサイトを構築するにあたって、さまざまな補助金を申請できる場合があります。対象となる可能性のある補助金は、次の5つです。
IT導入補助金
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際の経費の一部を補助することを目的とした補助金です。ECサイトの構築にかかる費用を、最大で350万円軽減できる可能性があります。
補助の対象となるにはいくつかの要件があります。また、申請の受付期間が定められているため、公式サイトでスケジュールを確認のうえ、期限内に申請しましょう。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、革新的な製品・サービスや、生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システムへの投資を支援することが目的の補助金です。補助金額は従業員数に応じて決められており、補助率は投資額の2分の1もしくは3分の2で、要件によって異なります。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代への対応に必要な事業再構築を支援するための補助金です。「産業構造転換枠」や「サプライチェーン強靭化枠」など、条件によってさまざまな支援枠があり、新しい分野への展開、事業転換、業態転換、事業再編といった比較的大規模な事業再構築にも対応しています。
例えば、コロナ禍の影響で実店舗への集客が難化し、販路拡大のためにECサイトを立ち上げる場合などは事業再構築補助金の対象になります。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が販路開拓や生産性向上を実現するための取り組みを支援することを目的とした補助金です。ECサイト構築は「ウェブサイト関連費」に相当するため、補助の対象となります。ただし、対象となる事業者の規模には制限があります。宿泊業・娯楽業・製造業そのほかの場合は常時使用する従業員の数が20人以下、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の場合は常時使用する従業員の数が5人以下です。この基準を上回る事業者は、対象外となる点に注意してください。
自治体による補助金
自治体ごとに独自の補助金制度を設けているケースもあるため、事業所所在地の自治体の補助金を確認しておくのが得策です。一例として、東京都中央区はECサイト活用補助金として最大6万円を補助しています。青森県の海外ビジネス展開に向けた補助金制度では、海外向けのECサイト出店や海外向けパッケージデザインの作成などに対して、最大50万円の補助を受けることが可能です。
こうした補助金を活用することで、ECサイトの構築にかかるコストを軽減できるケースもあるでしょう。
ECサイトへの決済手段の導入は、SBペイメントサービスにご相談ください
フルスクラッチやパッケージ、オープンソースといった方法でECサイトを構築するのであれば、決済システムが必要です。顧客層を拡大するためにも、決済手段は多く用意するに越したことはありません。しかし、金融機関などと一つひとつ契約を結んでいくのは、非常に手間がかかります。
そこで活用したいのが決済代行会社です。SBペイメントサービスは、PayPay、クレジットカード決済、キャリア決済、コンビニ決済、後払い決済など、さまざまな決済手段に一括で対応でき、高いセキュリティを備えています。多くのEC事業者さまに導入いただいているSBペイメントサービスを、ぜひご検討ください。
▼オンライン決済サービスについては、以下のページで詳しく説明しております。
オンライン決済サービス・決済システム導入ならSBペイメントサービス
貴社ニーズに合わせたオンライン決済サービスをご提供いたします。決済代行会社をお探しであれば、是非ご検討ください。
よくあるご質問
- Q.
- ECサイトを作る流れは?
- A.
- ECサイトを作成する場合は、最初にECサイトの目的や目標とする規模などを決め、それらに予算や運用体制などを加味して構築方法を選択します。構築方法には、フルスクラッチ、パッケージ、クラウドEC、オープンソース、無料・有料のASPがあります。自社でのECサイト構築が難しい場合は、制作会社に依頼してもいいでしょう。構築方法が決まったら、実際にECサイトを構築して商品登録や決済システムの導入などを行い、ECサイトを公開します。
- Q.
- ECサイトを作るのにかかる経費は?
- A.
- ECサイトを作る際に必要な初期費用は、開発の方法によって異なります。フルスクラッチの場合は数千万円~、パッケージソフトやクラウドECであれば500万円~が目安です。オープンソースを活用する場合、初期費用は発生しないものの、開発コストがかかります。無料ASP・有料ASPであれば初期費用をかけることなくECサイトを構築できますが、ほかの構築方法と比べると拡張性が低くなる点に注意が必要です。
- Q.
- クラウドECにかかる費用は?
- A.
- クラウドECにかかる費用は、初期費用として500万円~、月額費用は数十万円~が目安です。サービスによっては販売手数料がかかる場合があります。クラウドECはクラウド上にあるプラットフォームを利用することから、自社にとって必要なサービスを選んで活用できる点が大きなメリットです。
一方で、ECサイトのソースコードが開示されていないため、社内での保守管理ができません。社内で保守管理を行いたい場合は、同程度の初期費用で構築が可能なパッケージソフトを活用するのもひとつの方法です。
その他のご不明点はFAQ よくあるご質問をご確認ください。